
ダイナミックプロの一つ先輩の斎藤君こと風忍のデビューが決まった…場から、浮き出ていた個性的な斎藤君もデビューが決まって凛々しく見えるから不思議だ(笑)僕は、その作品「百円病院」の仕上げをやった。来年は僕らの番だ。木村君(真樹村ただし)浜田君(はまだよしみ)を含めた同期数人の誰か?
当時、ダイナミックプロには、2年アシを務めるとデビューのチャンスが与えられた。
しかし、僕はその特典を利用する事なく、その年の慰安旅行にも参加せず、辞退者2、3人と仕事場で留守番がてらセッセと持ち込み原稿を描いて各社に持ち込みをした…その一本が、少年ジャンプの手塚賞応募作「エレジーママロボット」…賞は貰えなかったが、ジャンプ増刊号にいち早く掲載され“やまと虹一”のデビューとなった。
ダイナミックプロには、アシ中に「持ち込み禁止!」という決まりがあったから、僕はそれを破ったという事になる…永井先生やダイナミックの関係者には迷惑をかけてしまった…「T(本名)君は、せっかちだからなぁ(笑)」…が、永井先生から掛けられた最後の言葉だった。結局、ダイナミックプロに約十ヶ月という短期間ながらお世話になった…秋田から上京して一年と一ヶ月…ついに、漫画家になった!本当に、せっかちなデビューだった(苦笑)。